ソファーを選ぶ時に考えるのは、ほとんどの方は「サイズ」や「色」だったりします。それらももちろん大事ですが、意外と忘れられやすいのが、ソファーの「素材」です。
ソファーに腰かけてまず体に感じる「素材感」は、毎日使う快適なソファー選びにとって、とても大切。それだけでなく、素材の違いはソファーの風合いや耐久性をも左右します。
このページでは、よく使われるソファーの素材を取り上げて、その長所・短所や取り扱う上のポイントをご紹介します。
ソファー生地の種類
まずは「生地」の素材についてです。一般的なソファーの生地には、次の3つがあります。市販されているソファーのほとんどは、これらのいずれかが使われていると思いますよ。
ちなみに、ソファに使われる生地のことを「張地(はりじ)」とも呼びます。
オンリーワンの高級感「本革」
動物の皮をもとに作られた革のことです。ソファーだけでなく、靴やかばん、革ジャンなど身の回りの様々なアイテムに使われています。3つの素材の中では最も高価で、一部に合成皮革(後述)を使ったソファーもあります。
ソファーに使われる本革は牛革が多く、また革の厚みや加工・仕上げの方法などによって種類が異なります。
メリット
本革ソファーの一番の魅力は、何といっても「高級感」です。重厚でしっとりとした、存在感のある革独特の手触り。年を重ねるごとに変化し、味わいを増す色艶や風合い。いずれも、他のどの素材にも出せないものです。天然皮革ならではのシワや傷も、同じ商品が世界に1つもないという価値の表れといえます。
また本革は吸湿性・通気性に優れています。夏のじめじめした時期でも、本革のソファーは快適な座り心地を生み出してくれるでしょう。
デメリット
本革の欠点は、お手入れが大変なこと。非常にデリケートな本革は水分や汗、乾燥や汚れに弱く、他の革製品と同様に拭き掃除や適切なメンテナンスを行わないと、ひび割れや色落ちなど劣化が発生することがあります。
逆に、きちんとメンテナンスを続ければ、本革は非常に丈夫で長持ちする素材です。
また、貴重で高級な本革のソファーは、他の素材に比べて高価なのもデメリットといえるでしょう。
本革のテイストをお手軽に「合成皮革」
人工的に、本革に似せて作られた素材で「合皮」と呼ばれます。布地をベースにして合成樹脂を塗布し、さらに表面を型押しして見た目を革らしくしたものです。本革よりも安価なためソファー生地として幅広く用いられています。
なお、ソファーの表記でよく見られる「PVC」や「PU」というのは合成皮革の種類です。PVCとは「ポリ塩化ビニル」、PUは「ポリウレタン」で、後者がより上質とされます。
メリット
合成皮革は、上述の通り人工素材なので、天然素材の本革よりも価格面ではかなり有利です。もちろん本革の質感や風合いには及びませんが、お求めやすい価格で本革のテイストを楽しめるソファーは魅力的です。
また、合成皮革は本革よりもカラーバリエーションが豊富なので、お部屋のインテリアに合わせてソファを選びたい方にはおすすめです。
もう1つの合成皮革の強みは、お手入れがしやすい点。合皮は表面が樹脂系素材で覆われているため、非常に汚れに強く、本革が苦手な水も問題ありません。薄めた中性洗剤でソファーをさっと拭き掃除すれば十分です。
デメリット
人工物である合成皮革は通気性や吸湿性に難があり、人肌との馴染みは決して良くありません。寒い日に合皮のソファーに座るとものすごく冷たい、暑い日は汗がべたつき不快だ、といった経験はありませんか?肌との感触を特に重視する方は注意が必要です。
また本革に比べて合成皮革は耐久性に劣ります。素材の経年劣化や、外部からの負荷によって、ひび割れや表面のはがれが出ることもあります。
豊富なデザインと肌触り「布地」
特に女性の方に人気が高いのが布地のソファー。皮革とは違った温かみが生地にあり、カーテンやテーブルクロスなど、他のファブリックのインテリアと調和しやすいのが特徴です。
素材は様々で、綿や毛、麻などの天然繊維、ポリエステルやアクリル、レーヨンなどの合成繊維が使われます。
メリット
布地ソファーの大きな魅力は、デザインの豊富さです。カラーや柄の違いだけでなく、綿・毛・ビニール・麻など繊維の風合いも異なる、多種多様なソファーがあります。「お気に入りの1本」を探す楽しみは、3つの素材の中では一番でしょう。
また衣類と同じく、布地は皮革よりも肌触りが良いのが特徴です。座った時の優しく温かい感触はファブリックならではのもの。冬の「ヒヤッと感」などもなく、常に快適な使い心地を得られます。
さらに布地は柔らかく伸縮性に優れているため、長期間繰り返し使っても 伸び縮みによる劣化は比較的少ないです。
デメリット
布地は汚れや臭いが付きやすく、落としにくいのが難点です。特に水物の汚れに弱く、飲み物や汗などのシミが残ってしまうケースも多いため注意が必要です。また繊維にホコリやダニも付きやすく、とかく衛生面には気を配って使用してください。カバーを外して洗濯できる「カバーリングタイプ」のソファーをおすすめします。
もう1つは、革に比べて摩耗による劣化がしやすいこと。よく座る部分がこすれて繊維が切れたり、傷みがひどいと生地が破れてきたりします。
各素材の特徴 早わかり表
「クッション」の素材にも注目!
ソファーの素材で注目しておきたいのは、生地ともう一つ、「クッション」です。
座る人の背中やお尻を優しく受け止めるクッション。その良し悪しは座り心地に大きく影響します。ソファーを選ぶなら、クッションの素材にも大いにこだわっていただきたいと思います。
代表的な素材は次の3つ。単独で使われることもあれば、複数の素材を組み合わせて独自の座り心地を作り出している商品もあります。
羽毛
水鳥の羽毛を詰めたもので、ふんわりと包み込むような優しい座り心地が生まれます。ソファーだけでなく布団やジャケットの素材にも広く使われている、馴染みの深い素材ですね。
羽毛には「ダウン」と「フェザー」の2種類があります。
ダウンはたんぽぽの綿毛のような形状で、空気をたくさん含むため非常に軽くて柔らかくなります。一方フェザーは芯がある羽根(「赤い羽根」のような形状)で、ほど良い弾力と柔らかさ、復元性が特徴です。どちらかというと、ソファーに使われるのはダウンよりもフェザーが多いようです。
ウレタン
樹脂を発泡させて固めた人工素材です。素材の内部に「セル」と呼ばれる気泡ができるため、軽さとクッション性が生まれます。羽毛よりも硬く、しっかりとした座り心地を得られます。
ウレタンの密度によって柔らかさ・硬さは違うため、ソファーのクッションでは様々な硬さのウレタンを組み合わせることが多いです。また通常のウレタンと異なる製法により、高い密度と優れた耐久性を持つ「モールドウレタン」もあります。
シリコンフィル綿
ポリエステル繊維にシリコン処理を施したものです。
繊維の表面摩擦が小さくなり、羽毛のようなふんわりとした柔らかさと弾力が生まれます。また復元性、耐久性にも優れており、さらに羽毛よりも低コストなどメリットの多い素材で多くのソファーに用いられています。
綿
綿には柔らかさとコシの両方があり、ちょうど羽毛とウレタンの中間の硬さ・弾力を持っています。
綿にはたくさんの種類がありますが、ソファーのクッションにはポリエステル系繊維と合わせて使われるのが一般的です。化繊は弾力性や復元力に優れています。
座り心地を支える「バネ」の違い
最後に、ソファーの座面を支える「バネ」についてです。
バネの種類によって異なるのは「構造」であって厳密には「素材」ではありません。しかし生地やクッションと同様、バネの違いによってソファーの座り心地が大きく違ってくる大切な要素ですので、ここに併せてご紹介したいと思います。
ポケットコイル
ポケット(袋)に入った弾力性の高いコイルを並べたバネです。コイル一個一個が独立しているので座面の沈み方が一様でなく、座る人の位置や体形に合わせて荷重を支えてくれるため非常にフィット感の良い座り心地となります。
Sバネ
S字形の金属バネを連結させたバネです。他の鋼製バネよりも弾力性は劣りますが強度があり、構造上、座面を薄く軽く作れるため多くのソファーに採用されています。座り心地は位置によって異なり、中央部分は弾力があり端部ほど硬いという特徴があります。
コイルスプリング
渦状のバネを並べて鉄線などで連結させたバネです。そのため座面のどの位置でも同じ弾力性が得られます。柔らかく豊かな座り心地が特徴です。また荷重がバネ全体に分散されるのでソファー本体への負担が少なく、耐久性にも優れています。
ウェービングベルト
布製のゴムベルトを網目のように縦横に編んだものです。鋼製のバネよりもしなやかな弾力があります。軽くて静音性に優れ、他のバネよりも低コストですが、弾力性や耐久性は金属のバネよりも劣ります。
「素材感」は、実際に見て触って確かめましょう!
いかがだったでしょうか?ソファーの素材と一口に言っても色々な違いがあるのがお分かりいただけたかと思います。どれが絶対に優れている、というものではありません。それぞれの特徴をよく知り、ご自分がお気に召した素材をお選びください。
また、ここでご紹介したのは、あくまで各素材の一般的な機能面の特徴です。素材の肌触り、ソファーに座った時に感じる「素材感」は、文面でお伝えしきれるものではなく、やはり実際に座って確かめてみられるのが一番です。
「赤や」各店には、革・ファブリックのソファーを幅広く取り揃えております。ぜひご来店いただき、各素材の座り心地をお確かめくださいませ。