家具の素材の定番といえば、なんといっても木製家具。ナチュラル、シンプルモダン、北欧風…どんなインテリアにも調和し、世代・性別を問わず好まれています。
そんな木製家具の中でも人気なのが、無垢の木材で造られたテーブルやチェアです。
「無垢材の家具」について、皆様はどんなイメージをお持ちでしょうか?
漠然と“いいものだけど、高そう…”という印象の方も少なくないと思います。
実際のところ、無垢の家具にはどんな特徴やメリットがあり、なぜ高価なのでしょうか?
今回は「無垢材の家具」について徹底解説します!
「無垢材」とは?
無垢という言葉には「混じりけがない」「けがれがない」といった意味があります。
ここから、木の「無垢材」とは、何も手が付けられていない、加工されていない木材を指します。森から伐採した木を乾燥させて、その1本の丸太から切り出して形を整えただけの木材です。
無垢材の魅力
厳しい自然の中を、何十年、何百年という長い年月をかけて育った原木から生まれた無垢材には、工業製品には決して出せない無二の魅力があります。
また家具の材料としても、優れたメリットを持っています。
天然木の美しさと風合い
無垢材の一番の魅力は、何といってもその美しい木目や色合いです。
自然がおりなす造形はすべての木材に一つとして同じものはありません。傷や割れさえも、その木ならではの味わいといえます。また天然木の肌触りや香りも、他にない温かみがあり心地よいものです。
世界に一つだけの貴方の無垢家具は、使うほどに愛着が生まれるでしょう。
自然素材ならではの経年変化
無垢の木材は、それ自体が生きて呼吸をしています。家具という形になってもそれは変わりません。
人が年を重ねて円熟味を増すように、無垢材も長く使い込むほどに徐々に味わいが生まれます。「無垢の家具は一生もの」と言われるのはそのためです。年月を経るごとに奥深くなる色艶や質感をお楽しみください。
丈夫で長持ち
「無垢材は経年変化を楽しめる」と上に書きましたが、それはすなわち、年月の変化を追えるほど無垢材の家具は長持ちするということです。
大地に根を張ってそびえ立つ樹木から切り出された無垢材は、それ自体が十分な強度としなやかさを持っています。実際、はるか昔の木造建築物が今なお形をとどめていることからも、その丈夫さがうかがえます。
化学物質を使わず安全
無垢材以外の加工された木材には、化学物質である接着剤が使われています(詳しくは後述)。もちろん健康上問題ないレベルでの使用ですが、化学物質にデリケートな方にとっては気になるかもしれません。
一方、無垢材には接着剤が使われておらず人体に有害な物質は出ませんので安心してご利用いただけます。
無垢材のデメリット
ここまで無垢材の良い点をご紹介しましたが、どんな良いものにも弱点はあります。無垢材家具のデメリットもあわせてお伝えしますので、これを踏まえてご購入を検討なさってください。
ひび割れや反りのリスク
無垢材は「生きた」木であるため、温度や湿度などの周辺環境によって伸縮しています。これによって部材にひび割れができたり、反り(そり)やゆがみが生じるケースもあります。天然素材ゆえのデメリットと言えるでしょう。
価格が高い
無垢材の家具は、一般に集成材や合板などでできた家具よりも高価になります。
これは、一本の木から取り出せる無垢材の量はどうしても限られてくるからです。特に一枚板のテーブルなどは、あの大きさを一枚で取れる丸太となると、とても貴重です。工場で大量生産というわけにもいきません。
また、生の木から切り出した無垢材は製品化されるまでに乾燥させる必要があります。この乾燥の工程で発生するコストが材木の価格に乗ってきます。
こまめなメンテナンスが必要
無垢材はコーティングなどの表面加工が施されていません(それが無垢材の良さでもあるのですが)。そのため汚れや傷がつきやすく、ついた汚れが落としにくいというデメリットがあります。特に水や油の汚れはシミになりやすいため、こまめにメンテナンスをして汚れを残さない工夫が必要です。
家具に使われる無垢材以外の木質材料
木を切ってそのまま使う無垢材に対して、木材を様々に加工して作られた材料のことを「木質材料」と呼びます。木の風合いを持ちながら無垢材の弱点をカバーするもので、いずれも家具の材料や建材として幅広く使われています。
ここでは代表的な木質材料を簡単にご紹介します。
集成材無垢材を小さく切り分けて乾燥させ、接着剤で貼り合わせた木材や板です。 |
合板薄くスライスした板材(ベニヤ)を接着剤で貼り合わせた木材です。 |
パーティクルボード細かくチップ化した木材に接着剤を混ぜて板状に成型した製品です。 |
アルダー蒸解した木材繊維に接着剤を混ぜて板状に成型した製品です。 |
「無垢材の家具」と「突板の家具」の違いとは?
無垢材家具と同じように天然木の風合いを楽しめる家具として「「突板(つきいた)家具」というものがあります。
突板というのは、木材を薄くスライスしたものです。表面には、普通の板や丸太のように木目が出ています。
薄くスライスした突板は、そのままでは家具の部材になりませんので、合板などの芯材の表面に張り付けて使います。この、表面に突板を貼った部材で造られた家具を「突板家具」というのです。
つまり「無垢材家具は、全部が無垢材」「突板家具は、表面が無垢材」ということになります。
薄いとはいえ本物の木を貼っているわけですから、ぱっと見ただけでは無垢材の家具と遜色ありません。
また、先にあげたように無垢材には自然素材ゆえの反りやゆがみ、割れが発生しますが、突板家具はその心配がなく、また比較的安価で天然木の見た目や肌触りを味わえるのがメリットです。(ただし経年変化はありません)
“無垢材っていいな、でもいきなり高価な無垢家具を買うのはちょっと…”といった方は、まず突板家具から始めてみてはいかがでしょうか。
無垢材に使われる木の種類
家具や材木に使われる木にはたくさんの種類があります。木の特性まで考えて家具を選ぶというのはなかなかハイレベルかもしれませんが、名前と性質を知っているだけでも家具選びがより幅広く、楽しくなりますよ。
全ての木の種類を紹介するのはとてもできませんので、ここでは代表的なものだけを簡単に取り上げます。
オーク「虎斑(とらふ)」と呼ばれる個性的な木目が特徴。レッドオークやホワイトオークなどの種類があります。密度が高く強度にも優れます。 |
ウォールナット世界三大銘木の1つとして有名。重厚な木目と高級感のあるダークブラウンが魅力です。また強度と粘りがあり、狂いが出にくいのも特徴です。 |
パイン柔らかく温かみのある木目が特徴で、加工しやすいナチュラルテイストの木材です。ホワイトパイン、イエローパインなどの種類があります。 |
アルダー肌触りが良く、少し赤みがあります。軽量で柔らかく加工性が良いのが特徴です。ヨーロッパでは「神聖な木材」と言われています。 |
ホワイトアッシュ清潔感のある淡い白系の色合いとしっかりした木目が特徴です。適度に硬さがあり弾力性もあるためスポーツ用品にも使われます。 |
ブラックチェリー経年による風合いの変化が最大の特徴。長く使い続けると赤褐色が強まり光沢感や高級感が生まれます。アメリカンチェリーの木です。 |
モンキーポッド木目に個体差が大きく出る木です。不規則な縞のコントラストが美しいことから特に一枚板テーブルの素材として人気があります。 |
ニレ北海道を中心に分布しています。木目はまっすぐで美しく、辺材は黄白色、心材は淡褐色です。粘りがあり曲げ加工に向いています。 |
無垢材家具の取り扱いの注意点
原木からそのまま切り出した無垢材は、自然の木に近いデリケートな状態です。その無垢材で作られた家具もまたデリケート。末長く使い続けるためにも、日頃からの取り扱いが大切です。
水汚れに注意
無垢材は水分を含む汚れはシミになりやすいので、付けてしまったらすぐに乾いた布で拭き取ってください。
また、濡れた台拭きなど湿った物を置いたまま放置するのも避けてください。
敷物を使う
熱い鍋やコップ、調理機などを直接家具の上に置くと変色や輪ジミの原因になるため、テーブルクロスやコースターなどを使って家具にダメージを与えないようにします。冷たい缶やコップも要注意です。
ただしビニールのテーブルクロスは木の呼吸を妨げることになるので避けてください。
直射日光を避ける
無垢材に直接日光が当たると、変色や反り、ゆがみの原因となります。直接日光が当たらないようカーテンを使ったり、家具の置き場所に配慮するなどしてください。
冷暖房器具の近くに置かない
エアコンの風やストーブの熱なども、直射日光と同様に反りやゆがみ、割れや変色の原因となります。熱風や冷風が直接家具に当たらないようにしてください。また冬場は乾燥による変形が起きやすいので、加湿器を使うと良いです。
無垢材家具のお手入れ方法
無垢材家具に対するネガティブイメージとしてよく聞かれるのが「お手入れが大変そう…」というものです。
確かに、無垢材家具のお手入れは一般の家具と比べると手間がかかります。しかしだからこそ、他にない上質の使い心地を得られるわけです。しかも、実は押さえるべきポイントをしっかり押さえていれば、そんなに大変ではありません。
基本は乾拭き
毎日のお手入れは、柔らかい布で乾拭きしていただくのが一番です。こまめに汚れを取っておくことで後々のメンテナンスの負担も軽くなります。
汚れがきつく水拭きしたい場合は、固くしぼった布で拭きます。「無垢材は水拭きNG」と思っている方もあるようですが、そうではありません。ただし水拭き後、水分を残さないようにしてください。
数か月に一度はオイルを
無垢材の肌触りやツヤを保つためには、定期的にオイルを塗ってください。
基本的には数か月~1年に1回ペースで問題ないでしょう。乾燥が始まる秋口に塗るのがおすすめです。ただし頻繁に水拭きをしている場合は、オイルが徐々に落ちていくため、もう少し早いスパンで塗りましょう。
無垢家具用のオイルが市販されていますので、商品に指示された使用方法に従ってお使いください。
少しの傷なら自分で消せる
柔らかい木で作られた無垢家具は傷がつきやすいですが、少しの傷ならわりと簡単に修復できます。大まかな流れは次の通りです。
※表面をウレタン塗装した家具には行わないでください。
- 目の粗いサンドペーパーで傷まわりを削り取って傷を消す
- 目の細かいサンドペーパーで全体をこすって滑らかにする
- オイルを塗る
「赤や」で無垢材の家具をお探しください
いかがでしたか?
無垢材の家具の特徴やメリット、使う時のポイントなどがお分かりいただけたかと思います。皆様の家具選びの参考としていただければ幸いです。
無垢材家具は決して安いものではありませんし、お手入れにも手間がかかります。ですが、「本物の木」ならではの風合いや高級感、使うほどに輝くその魅力は、無垢材の家具でなければ得られないもの。機会があればぜひ手にしていただきたいと思います。
「赤や」では、大小さまざまな無垢材家具を店頭に取り揃えており、実際に商品を見て、触っていただけます。各店舗限定の「掘り出し物」が見つかるかも?スタッフ一同、皆様のご来店を心よりお待ちしております!